慶應日記@はてな

慶應義塾大学・通信教育課程・法学部・乙類・70期・学士入学の学習記録・復習ノートなどなど

文書偽造の整理

  <客体> <印> <形態> <権限> <適用条文> <罪刑> <未遂> <行使・未遂> 参考
  公文書 有印 偽造 有形 155条1項 一年以上十年以下の懲役   158条1項・2項  
    無形 156条 一年以上十年以下の懲役   158条1項・2項 身分犯
  by私人→ 間接無形 157条1項 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金 157条3項 158条1項・2項  
  by私人→ 間接無形 157条2項 一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金 157条3項 158条1項・2項  
  変造 有形 155条2項 一年以上十年以下の懲役   158条1項・2項  
    無形 156条 一年以上十年以下の懲役   158条1項・2項 身分犯
  無印 偽造 有形 155条3項 三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金   158条1項・2項  
    無形 156条 一年以上十年以下の懲役   158条1項・2項 身分犯
  変造 有形 155条3項 三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金   158条1項・2項  
    無形 156条 一年以上十年以下の懲役   158条1項・2項 身分犯
  私文書 有印 偽造 有形 159条1項 三月以上五年以下の懲役に処する 不可罰、167条1項・2項 161条1項・2項  
    無形 160条 三年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金 不可罰、167条1項・2項   医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書
  →原則 無形 上記以外 不可罰(but作成名義の冒用、同一性の齟齬) 不可罰、167条1項・2項    
  変造 有形 159条2項 三月以上五年以下の懲役に処する 不可罰、167条1項・2項 161条1項・2項  
    無形   不可罰(but作成名義の冒用、同一性の齟齬) 不可罰、167条1項・2項    
  無印 偽造 有形 159条3項 一年以下の懲役又は十万円以下の罰金   161条1項・2項  
    無形          
  変造 有形 159条3項 一年以下の懲役又は十万円以下の罰金   161条1項・2項  
    無形          
                   
*井田良(2013)、pp.170-171. <現行刑法> <条文> <公文書> <私文書> 参考      
作成名義→ 形式主義 基本 ←下記条文以外     作成名義の冒用、同一性の齟齬      
内容的真実→ 実質主義 補充 ←156条、157条、160条 156条 160条位        
                   
                   
<条文> 引用元:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html
155条1 項 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
155条2項 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
155条3項 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
156条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。
157条1項 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
157条2項 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
157条3項 前二項の罪の未遂は、罰する。
158条1項 第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
158条2項 前項の罪の未遂は、罰する。
159条1項 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
159条2項 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
159条3項 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
160条 医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、三年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
161条1項 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
161条2項 前項の罪の未遂は、罰する。
                   
167条1項 行使の目的で、他人の印章又は署名を偽造した者は、三年以下の懲役に処する。
167条2項 他人の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
                   
    <参考文献>      
山口厚(2011):『刑法』            
井田良(2013):『入門刑法学・各論 』