法の下の平等
・平等は権利か原則か(宍戸常寿2014、107ページ)
客観法→憲法上の権利
例:平等原則(14条1項)→各個人が平等権を有する
国家が活動する限り、別異の取り扱いは生じる
→平等権を広く認めると、国家の活動が平等権の制約に抵触する
→(ア)平等違反を広く認めるが、(合理的理由がある限り)合憲になりやすいものとする、(イ)平等の内容を限定的に捉えて、それに違反した場合には違憲
→日本の判例は(ア)の流れに属する。 批判:人権価値平等説(小島和司2004)
→判例・通説
(ア)の流れ 差別を二層化 特に警戒すべき差別にはより厳格な審査基準(厳格な合理性の基準)
14条1項後段列挙事由:アメリカの疑わしい差別or準・疑わしい差別にあたる(cf.特別意味説)
→スティグマの押し付け、地位の格下げが問題となるため、裁判所の審査が必要
判例:最高裁昭和39年5月27日 14条1項後段列挙事由=例示的 厳格審査は要求せず
立法裁量論:裁量権の合理的な行使として是認されるか(最高裁昭和51年4月14日)
平等の審査が裁量権により限定される(最高裁平成7年7月5日)
国籍=基本的人権の保障に関わる重要な地位、準正は子にとって自らの意思や努力でかえることが出来ない→合理的な理由の有無=慎重に検討することが必要(最高裁平成20年6月4日)
行政府の裁量権を考慮しても区別に合理的な根拠が認めれないかを検討(最高裁平成25年9月4日)
→合理的根拠の有無の審査
立法目的と立法目的を達成する手段、の2側面より判断(芦部)
例:尊属殺のケース 目的審査:人の区別の可否、手段審査:法定刑
→立法目的:加重要件は合理的、手段:甚だしく均衡を欠き正当化する根拠がない(最高裁48年4月4日)
目的審査:法律婚の尊重、婚外子の保護 手段審査:法定相続分が2分の1(最高裁平成7年7月5日)
→最高裁48年4月4日 を踏襲するならば、立法目的:婚内子・婚外子の区別 手段: 法定相続分が2分の1、とすべき(宍戸常寿2014、112ページ)
目的・手段の捉え方:差別の場合、人の区別と、区別の目的が密接になる、程度問題ではなくall or nothingの問題となる
立法目的:国民と外国人の区別 手段:受験を認めるか否か(東京都外国人管理職・最高裁平成17年1月26日)
→(目的・手段を人為的に分けずに)区別自体の合理性を(憲法上の価値判断から)まっすぐに問う
※婚内子・婚外子の区別の合理性が問題の核心(最高裁平成25年9月4日)
・アメリカの学説(安西文雄2014、98ページ)
平等の規範の対処すべき問題
反従属の視点:不平等的取扱者の社会的地位の格下げという害悪
反別異の視点:権利・義務において別異・不平等の扱い
ブラウン対教育委員会事件:「隔離すれど平等」の否定
・司法審査のあり方(安西文雄2014、102ページ)
アメリカの判例理論:「区別事由」と「区別の関わる権利・義務」の違い
区別事由:疑わしい差別(人種・民族)、準・疑わしい差別(性別・嫡出・非嫡出)、それ以外
区別の関わる権利・義務:基本的権利についての差別問題とそれ以外
(1)基本的権利についての差別問題→厳格審査
※二重の基準論を応用して、厳格審査か中間審査(芦部126頁)
(2)それ以外の権利・義務→区別事由による
疑わしい差別→厳格審査
準・疑わしい差別→中間審査
それ以外→合理性の基準
日本への応用
14条1項後段列挙事由:疑わしい差別or準・疑わしい差別にあたる(特別意味説)
→厳格審査、中間審査
※例 人種・信条:厳格審査、性別・社会的身分・門地:中間審査(芦部)
<参考文献>
安西文雄(2014):安西 文雄・巻美矢紀・宍戸常寿『憲法学読本』第六章、有斐閣
宍戸常寿(2014):『憲法 解釈論の応用と展開』第二章、日本評論社