慶應日記@はてな

慶應義塾大学・通信教育課程・法学部・乙類・70期・学士入学の学習記録・復習ノートなどなど

放火及び失火の罪

  放火罪の整理    
                 
<客体> <人の有無・所有者> <行為> <適用条文> <未遂・112条> <予備・113条> <罪刑>    
建造物 現住:現に人が住居に使用 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
現在:現に人がいる 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
非現住 放火して焼損 109条1項 罰する 二年以下の懲役 二年以上の有期懲役    
非現住・自己所有 放火して焼損 109条2項     六月以上七年以下の懲役・公共の危険を生じなかったときは、罰しない    
非現住・自己所有 現住建造物or他人所有非現住建造物に延焼 111条1項     三月以上十年以下の懲役に処する。    
汽車 現住:現に人が住居に使用 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
現在:現に人がいる 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
非現住 放火して焼損 よって公共の危険を生じさせた 110条1項     一年以上十年以下の懲役に処する    
※非現住・自己所有 放火して焼損 よって公共の危険を生じさせた 110条2項     一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処す    
※非現住・自己所有 現住建造物or他人所有非現住建造物に延焼 111条1項     三月以上十年以下の懲役に処する。    
電車 現住:現に人が住居に使用 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
現在:現に人がいる 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
非現住 放火して焼損 よって公共の危険を生じさせた 110条1項     一年以上十年以下の懲役に処する    
※非現住・自己所有 放火して焼損 よって公共の危険を生じさせた 110条2項     一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処す    
※非現住・自己所有 現住建造物or他人所有非現住建造物に延焼 111条1項     三月以上十年以下の懲役に処する。    
艦船 現住:現に人が住居に使用 放火して焼損 108条     死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
現在:現に人がいる 放火して焼損 108条     死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
非現住 放火して焼損 109条1項 罰する 二年以下の懲役 二年以上の有期懲役    
非現住・自己所有 放火して焼損 109条2項     六月以上七年以下の懲役・公共の危険を生じなかったときは、罰しない    
非現住・自己所有 現住建造物or他人所有非現住建造物に延焼 111条1項     三月以上十年以下の懲役に処する。    
鉱抗 現住:現に人が住居に使用 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
現在:現に人がいる 放火して焼損 108条 罰する 二年以下の懲役 死刑又は無期若しくは五年以上の懲役    
非現住 放火して焼損 109条1項 罰する 二年以下の懲役 二年以上の有期懲役    
非現住・自己所有 現住建造物or他人所有非現住建造物に延焼 111条1項     三月以上十年以下の懲役に処する。    
建造物等以外 自己所有以外 放火して焼損 よって公共の危険を生じさせた 110条1項     、一年以上十年以下の懲役    
自己所有 放火して焼損 よって公共の危険を生じさせた 110条2項     一年以下の懲役又は十万円以下の罰金    
自己所有 自己所有以外に延焼 111条2項     三年以下の懲役    
                 
<条文>   引用元:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html       ※適用
108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。 112条・113条
109条1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。 112条・113条・115条
109条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。  
110条1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。 115条
110条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。  
111条1項 第百九条第二項又は前条第二項の罪を犯し、よって第百八条又は第百九条第一項に規定する物に延焼させたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。  
111条2項 前条第二項の罪を犯し、よって同条第一項に規定する物に延焼させたときは、三年以下の懲役に処する。  
112条 第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。  
113条 第百八条又は第百九条第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができ  
114条 火災の際に、消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、消火を妨害した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。  
115条 第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。
     
     
      <参照文献>          
山口厚(2011):『刑法』
井田良(2013):『入門刑法学・各論 (法学教室ライブラリィ) 』